山代温泉 べにや 無何有

旅行

 石川県加賀市、山代温泉にある『べにや 無何有』に行ってきました。名前は荘子の言葉から取っているようです。何もないこと、無為であること。そんな言葉の意味を体現する宿でした。

部屋

 今回は家族旅行だったので、露天風呂付洋室と露天風呂付和室を1部屋ずつ取りました。私たちが泊まったのは洋室です。

 吹き抜ける風が心地良い廊下を通って部屋に行きます。

 今回泊まったお部屋。

 ドアを入るといきなり階段という珍しい作り。

 階段を登った左が客室、右にコーヒーセット、冷蔵庫。

 客室内をシンプルにするため、こういった小物は階段室に置かれています。多少不便かもしれませんが、客室の空間のクオリティを考えれば、少しの手間は惜しむべきではありませんね。

 ビールが充実していました。ほかはシャンパーニュ、国産白ワイン、お茶、水、ナッツなど。ワイングラスは置いてありませんが、頼めばワイングラスを持ってきてもらえます。私はシャンパーニュを白ワイングラスでいただきました。

 シンプル。何もない。まさに無何有。

 窓を全開にして、春の風と香りと音と光を全身で感じる。ほかに何をすることがありますかね。本当に気持ちのいい空間でした。

 有機的な自然と直線的な建築の対比。

 夜はこんな感じですね。窓のところにロールスクリーンがありますので、寝るときはそれを下げます。

 シャワー室を通って奥が露天風呂。

 ヒノキの露天風呂です。これもすごくよかった。春と温泉とヒノキの香り。鳥のさえずり。

 2日目朝。写真の左の巻物は前日夜にいただいた夜食です。朝シャン(朝にのむシャンパーニュ)しながら食べました。朝からヒノキの露天風呂+シャンパーニュ。至福!!!

 義父母の泊まった和室はこんな感じ。明暗があって、茶色を基調としているところから、洋室より落ち着いた感じ。塗り壁もコンクリートの壁もすごく映えます。

食事

 以前宿泊した時はカニ懐石を頂いたので、今回は通常メニュー+カニ追加。

 いきなり毛蟹。しょっぱなから飛ばしていくストロングスタイル。味は言わずもがなですね。濃厚な甘みがあってぷりぷりで、、、そこにカニ味噌の苦みなんかも加えちゃったりして。いう事なし!

 写真では分かりませんが、鮑は厚みが1.5cmくらいありました。コリコリ!スープも美味しい。

 烏賊素麺は笹の葉のようなものを引くと下に落ちて、タレと混ざります。

 鮎には蓼酢(たでず)なんですね。蓼酢というものを初めてしりました。見た目通りの爽やかな苦みが大変美味!

 鱧しゃぶとデザートで締め。どれも美味しかった!

 私はワインペアリングをお願いしたのですが、帰るときにいただいたワインのリストを貰えました!こんなの初めてもらったのでうれしかったです!丁寧に手書きで書かれていました。

 無何有と勝沼醸造のコラボレーションで「無何有 白」というワインを出しているようで、これがなかなか珍しいワインでした。写真を見てもらえばお分かりいただけると思いますが、甲州なのに樽をかなり強く効かせていて、ゴールドに近い色調になっています。香りも樽由来のバニラ香が豊富。でもケバケバしい化粧臭さを感じることはなく、樽香に負けないポテンシャルの高いブドウを厳選して醸造しているんだろうなーというのが分かるワイン。甲州でこの方向性は初めて。

 ペアリングは¥10,000~となっていますので、予算と好みをソムリエに伝える必要があります。日本酒を混ぜることもできるみたい。私は¥15,000でワインのみ、ロゼは入れないでほしいと伝えました。いいワインばかりでした。

 朝食はこんな感じ。飲み物がいっぱい出てくるので、それが結構お腹にたまります。夕飯の時も思いましたが、白米がとってもうまい。粒が立つとはこういう事か!と思いました。

施設

 館内に日本を代表する現代アーティスト、宮島達男氏の作品が常設されています。無何有設計者の竹山聖氏とのコラボレーション作品の様で、木の角材で組まれた構造体にデジタルカウンターが設置されています。構造体の前後には鏡が設置されており、合わせ鏡となっていて、カウンターの数字を無限に反射します。文字通り、「それは、永遠に続く」のです。

ほかの宮島作品と同様、このデジタルカウンターも「0」を表示しません。「9」から「1」までカウントダウンした後、「0」の代わりに完全に消灯する時間があり、また「9」を表示します。宮島氏によると、そこにあるのは「0」ではなく、「空」だと。それはemptyではなく、何もないがゆえに無限の可能性を秘めているものだとしています。それは荘子のいう「混沌」や「道(タオ)」にも通じる概念で、まさに『無何有』にふさわしい作品です。

 原研哉『蹲(つくばい) 「方寸」』。この作品は食事をとるスペースの横にあります。水滴が流れ落ちる作品ですが、2度と同じ流れ方をすることはないという点において、これも無何有のコンセプトとぶれることなく合致しています。

 中庭を眺めながら、自分好みのハーブティーを調合してゆっくり過ごせる「ライブラリー」。

 図書室もあります。私が行ったときはやっていませんでしたが、茶道の先生がいるときは抹茶が頂けるようです。

 エントランス。シンプルでいいです。新緑が映えます。

 中庭散策。苔マップというのが用意されているので、それを片手に苔鑑賞ができます。が、蚊が多くて、なんの対策もしていなかったので、早々に退散してしまいました。。。

 素晴らしい宿でした。1泊しかしませんでしたが、できたら2、3泊して、ただただ春の風と香りと音と光を全身に感じていたかったです。本当に気持ちのいいお部屋でした。

 以前は朝ヨガをやっていて、参加した時にとてもすがすがしい気分になれたので、可能だったら復活してくれないかなーと思っております。

 ではまたアニッチャ!!!

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