南アフリカのワイン飲みました。私はワインを飲み始めるまで知りませんでしたが、南アフリカワインの生産の9割を占める西ケープ州では、南極からの冷たい海流とインド洋の暖かい海流が合流したベンゲラ海流の影響で、緯度の割にはずっと冷涼なようです。アフリカというだけで、勝手に灼熱の大地を想像してしまいましたが、アフリカと一言で言っても広大ですからね。そしてワインの生産量も多く、2020年時点で世界第8位。またヨーロッパからアジアへの貿易中継地であったために、ワイン造りの歴史は古く、1659年からワイン醸造が開始されています。
南アフリカはワイン生産における環境意識が高いことでも知られています。”環境と調和したワイン生産(IPW)”というWOSA(南アフリカワイン協会)のワイン醸造およびパッケージングに関わるガイドラインがあり、現在95%以上のブドウ栽培農家やワイナリーがこのガイドラインに従っているとのこと。また西ケープ州には、”ケープドクター”と呼ばれる乾燥した風のおかげで病害が防げるため、防虫剤や防カビ剤の量も抑えられます。
シャノン・ヴィンヤーズ&ワインは西ケープ州のエルギン地区に位置する高級ブティックワイナリーです。エルギンは冷涼な西ケープ州の中でも特に冷涼な地域として知られています。
グーグルマップで見てみると、近くに2軒、別のワイナリーがあり、ワイン造りが盛んな様子が伺えます。また敷地東の境界にパルミエット川という川があり、この川に周囲の山脈から冷たい水を運んでくるようで、周辺の空気を冷やすとともに朝霧を運んでくるとのこと。
このワインはメルロー100%、アルコール15%。自然酵母による醗酵後、225Lのフレンチオークバリックでマロラクティック醗酵。そのまま20ヶ月熟成しています。
抜栓直後は完全に閉じていて、第一印象としてはすごくガッカリ。南アフリカ最高峰のメルローとの触れ込みだったので。。。ただ開いてからはふくよかな果実味と複雑さでとても美味しいワインでした。私はバキュバンを使ってワインを保管していますが、それを使って3週間ほどかけて飲み、それでも最終日が一番おいしかったので、そこからまだ伸びた可能性もあります。そのへんが難しいですよね、ワインて。デキャンタージュせずに1日で飲んでしまったら、そのポテンシャルをまったく発揮することなく、ただただアルコール感が強いだけのワインという印象しか持たなかったと思います。どうすればその判断ができるのか、いまだにまったく分かりません。。。
外観はメルローらしい、若干黒みがかったきれいなルビー色。アルコールが15%もあるので、かなりねっとりした印象。見た目からも凝縮感を感じます。
香りは開いてからはカシスやブラックベリーなどの黒系果実が豊富で、ミントの爽やかな香りのアクセントがあり、シナモン、なめし革、マッシュルームなどの熟成香が高級感と濃密な印象を与えます。
味わいは豊かできれいな酸、これまたメルローらしい尖ったところのない優しく滑らかなタンニン、ミネラル感。外観から想像した通り、とても凝縮感があり、濃厚な旨味と共に、豊かな果実香とそれに骨太な骨格を与えるような熟成香。ただただおいしい。
余韻も長く美しいです。端正にスーッと伸びる、繊細で洗練された余韻にこのワインのポテンシャルを感じます。そして最後に少し熱を感じるアルコールからの苦み。
とても美味しいワインでした。南アフリカは高級ワインも多く作られており、かつコストパフォーマンスもとても高いので、おすすめの産地です。社会情勢に少し不安のある国ではあるようですが。
それではアニッチャ!!!
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